コンセプトは「自分が行きたい整骨院」。女性のプライベートな時間を大切にしたスタイルに。
鯖江市神明町の住宅街にある、可愛らしい一軒家。『鳥羽中レディース整骨院』は、友達の家に行くような感覚で足を運べる、女性専用の整骨院です。院長の天谷紀江さんは、福井では数少ない女性の柔道整復師。父親が自宅で整骨院を営んでいたことから、同じ道に進むのは自然な流れだったと言います。
「小さい頃から両親に仕込まれていたので、マッサージをするのが大好き。人を癒す仕事以外考えられませんでした」。専門学校でアロマテラピーを学んだ後、将来の開業を考え、父と同じ柔道整復師の資格を取得。2008年7月に実家の『鳥羽中接骨院』に併設する形で整骨院を開きました。
院内の設計から施術スタイルまで、すべて自分のしたいことを形にしたという天谷さん。「この業界は男性の世界なので、女性特有の症状やつらさが伝えづらい一面があります。女性の私だから理解できること、施術できることで、女性を元気にしていける場所を作ろうという想いがありました」。そのため、自分が客として通っていたサロンのいいところをお手本に、利用する側の「あったらいいな」を取り入れています。
施術は完全予約制で、貸し切り状態で集中して施術できるスタイルに。自分だけの時間の中で施術が受けられる空間は、仕事と家庭の両立で忙しい福井の女性には貴重な存在です。施術は午後8時スタートまで対応しているので、仕事帰りや家事を片付けてから通う方も多いそうです。
驚くほどソフトな施術なのに、終わった後の体の軽さが違う!
天谷さんの整骨院は自費メニューが充実しているのも特徴です。これは「いかに患者さんの体を楽にしてあげられるか」を考えた結論。本人が自覚している以上に全身の疲れやコリがひどいケースや、なかなか分かってもらえない月経前や更年期のつらさに悩む人も多いそうです。「保険を使うと施術時間が限られるので、どうしても対処療法になってしまうんです。私は短時間の施術をとにかく回すよりも、患者さん一人ひとりにじっくりと関わりたい。どの方にも原因からしっかり症状を緩和してほしいと思っています」。
そんな天谷さんの施術は、意外にも「こんなにやさしい施術でいいの?」と驚かれるほどソフトなもの。しかし、施術後の体の軽さ、爽快さは格別だと多くの患者さんが言います。
強い力をかけることが、コリを揉みほぐし、ゆがみを整える最善策ではありません。的確に原因をとらえた上で、体に負担をかけずにコリやこわばりを緩める。そこが技術・知識の面で一線を画す柔道整復師の施術なのです。
勉強熱心な天谷さんは、これまでに数多くの技術を習得。手技ひとつとっても、頭蓋骨の固くなったところをほぐし、背骨から骨盤にかけてのバランスを整える「クラニオセイクラル・セラピー」をはじめ、胸元や股関節など、ゆがみの原因になっている筋肉をリリースする「筋膜・隔膜リリース」、アメリカ発のエネルギー療法( 気功 )「クォンタム・タッチ」、皮膚を引っ張って代謝を促進させる「整膚療法」、体質・症状に合わせた豊富な手技がある「推拿整体」と、多彩な技を駆使しています。
「こうあるべき」という概念にとらわれず、自由な感性で人のからだと健康を見つめていきたい。
「骨盤矯正は股関節やお腹の筋肉を緩めますし、肩こりなら肋骨や横隔膜を緩めます。男性にはちょっと、と思うところも女性同士だからほぐせますよね」と天谷さん。より早く楽にするためなら、超音波や低周波の機器も使い、アロママッサージなどのリラクゼーションも提案。「患者さんが満足できる、一番いい形での施術にこだわっていきたい」という姿勢が伝わってきます。
業界の大先輩である父親は、今では天谷さんのよき理解者だと言います。「最初は受け入れられなかったみたいですが、喜んでくれる患者さんを見て、納得してくれるようになりました。同じ敷地ですから、両方を使い分けて行き来する患者さんもいますし、症状によっては父のほうを勧めることもあります」。それぞれの長所を生かして協力しあう、いい形が出来上がっています。
毎年何かひとつ新しいものを取り入れることを心がけている天谷さん。最近は手技だけでなく、以前から学んでいたカウンセリングスキルの向上も目指しています。「メンタルと体は密接につながっているので、ストレスをため込むと体もつらくなるんです。話をするだけで心が楽になって、体が軽くなる人もいるくらいですから」。と、体と心の両面からアプローチできるサロンにすることを目標にしています。だからこそ「自由な心でいいものを柔軟に学び、取り入れていきたい」と語ります。そんな天谷さんのサロンは、健やかさを求める女性のよき‟駆け込みどころ“として、これからもますます活躍が期待されます。
(取材日時/2015年1月19日 ライター:佐藤公美恵 様)
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